調査員の履歴書
『インタビュー/調査員の履歴書』№27 小さい頃の遊び場から・・
Q 自己紹介をお願いします。
A 籠尾拓幸(かごおひろゆき)です。調査課に所属しています。滋賀県内の遺跡で発掘調査をしています。
Q ありがとうございます。現在この滋賀県文化財保護協会で働いている籠尾さんですが、幼少期はどんな感じだったのでしょうか。
A 実は歴史よりも虫が好きな少年でした。春は蝶、夏はカブトムシと、たくさんの虫を捕まえ、標本を作るほど熱中していました。
Q 意外な回答が返ってきました・・ではなぜ歴史や文化財の分野を目指したのでしょうか?
A 虫から歴史に興味をもった理由は、昆虫採集でした。昆虫採集のために田んぼや雑木林に足を運ぶのですが、その場所は山城や古墳、お地蔵さんなど、様々な文化財であふれかえっている場所でした。幼い私はもちろんこの文化財が何かわかりませんので、近所の方々や、学校の先生に聞き、地元の歴史について学んでいました。
そのおかげで、学校での成績は軒並み悪いけれど社会科だけは成績がよい、というような学生生活をおくりました。
高校生になっても日本史だけは成績がよかった私は、「ここまで日本史が好きならば、歴史についての仕事を見つけて生きていこう。」と、大学へと進学したわけです。そして進学した大学で、この業界を知り、縁あって滋賀県文化財保護協会で勤めることとなりました。

Q 大学に進学してからの思い出としては?
A 大学では考古学を専攻しました。そこでの思い出はたくさんありますが、その中でも、授業で行われた発掘調査と先生や同級生といった交友です。
発掘調査では、滋賀県高島市にいきました。家から二時間かかるほどの距離でありますが、移動の苦しみを忘れるような楽しさでした。この発掘調査で、恩師や同級生、そして先輩、後輩と、様々な人と交流しました。冗談をかわしあい、時には厳しく、と喜怒哀楽ありました。
発掘調査が終わると打ち上げをするのですが、キャンプ場をお借りしてバーベキューをしました。このようにして大学ではたくさん人と交流する機会がありました。いまでもアルバムに残すほど、いい思い出がたくさんあります。
Q ありがとうございます。最後に一言よろしくお願いします。
A 好きなことを仕事にすることを叶えた私ですが、経験不足をいま後悔しています。学生時代の発掘現場の経験が少なかったためか、就職してから苦労することが多く、学生時代にもっと経験しておくべきだったと思う毎日です。
このような苦労をしないように、みなさんには就職する前に様々な経験をしてほしいなと思っています。
また、たくさんの人と交流をすることも大切だと感じています。大学での発掘調査でたくさんの人とつながりをもち、今でも連絡を取り合う人がたくさんいます。仕事やプライベートをはじめに、たくさんのことについて相談できる仲間がいます。そのおかげでつらい時もともに乗り越えていけますので、たくさん交流し、信頼できる仲間を見つけていってください。
籠尾拓幸(調査課)
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